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経営学の基礎用語
戦略ドメイン
 どんな企業でもビジョンを持っている。どのようなお客さんと付き合っていきたいか、どのような商品・サービスを提供したいかといったこと、つまり「将来どのような企業に成長したいか」がビジョンである。

 戦略ドメインとは、企業がビジョンを達成していくために活動する事業領域のことである。

 戦略ドメインは、戦略的マーケティングの中核的な概念であり、次の3つの要因によって構成される。

(1)標的顧客  -->誰に売るの?
(2)顧客ニーズ -->客は何を望んでいるの?
(3)独自能力  -->客を満足させられるの?


・「戦略ドメインとは、企業が長期的に自社の存立を委ね、経営資源を効率的に投入していく市場内生存領域を指し、戦略的マーケティングや経営戦略の中核となるもの」です。
・「戦略ドメインの確定化によって、企業は経営資源の統合化と市場内アイデンティティを確立し、効果的競争対応が可能となる」のです。
・「その意味で、戦略ドメインは戦略的マーケティング全体の要にあたり、その策定の良し悪しが、方向づけの正しさや企業の全体成果を決めるとも考えられる」のです。

「戦略ドメインの最初の策定ステップは、まず、どのような市場ニーズとそのニーズを強く感ずる顧客層に対し競争優位的な対象の確定化を行うかをあきらかにすることで、このことは、・・・戦略的ターゲットの確定化という問題になる」のです。「市場環境から戦略的ターゲットが確定化されると、そのターゲットに自社経営資源の強みをどのように生かしながら対応すべきかというステップが必要となる」のです。

 そこで、戦略ドメインを設定するためには、@どのような市場ニーズとそのニーズを強く感ずる顧客層をターゲットとするかを決め、その中で、A競争優位的な対象を決めて戦略的ターゲットを確定し、Bその戦略的ターゲットに自社経営資源の強みをどのように生かして対応するかを決める、というステップになるわけです。

 そこで、まず、市場ニーズについてですが、市場ニーズを商品の用途に対するニーズと捉えたわけです。なぜなら、いろいろなニーズの中で、商品の用途に対するニーズが商品開発のためには最も重要だからです。というのも、商品の用途は商品の使用目的であり、したがって商品の購入目的だからです。言い換えれば、顧客が商品を買うのは、商品をある目的、ある用途で使用したいからです。

 現在存在する商品、用途、顧客、つまり現市場を基準にして、新たな用途や新たな顧客を探索し、それらが構成する市場を空白市場と位置付けました。これらの空白市場の中から戦略的ターゲットを決めるためには、一つひとつの空白市場に対して、競争優位的な対象があるかどうかを検討しなければなりません。つまり、まず、上記の@とAについて順に探していかなければならないのです。ある空白市場を対象に、その空白市場に対して競争優位な部分があるかないかを検討し、なければ別の空白市場について同様に検討する、という具合に順に探していくわけです。

 空白市場とは現在商品が存在していない市場ですから、他社が気づいていなければそのままで競争上優位に立てるのです。しかし、もし他社が気づいていれば優位とは言えませんし、また、新商品を投入したとしてもすぐに真似されてしまっては何もなりませんから競争優位性の検討が必要なのです。

 競争優位とは競合他社と比較して優位であるかどうかです。これを検討するために、市場ポジショニングを行います。市場ポジショニングとは、自社と競合他社とをいろいろな視点(切り口)で区分し、市場における位置付けを明確にすることです。つまり、他社との違いを明確にするのです。

 通常、二つの切り口にして真中でタテヨコに区切り、4象限にして位置付けを行います。このようにして、いろいろな切り口で何度も行います。たとえば、価格と品質で区切ってみるとか、デザイン力とブランド力で区切ってみるとかです。いろいろな切り口で区切ってみると、他社との違いがはっきりしてくるわけです。つまり、企業の市場における強みと弱みが明確になります。

 以上のようにして、競争優位性がある市場が見つかったならば、その市場が戦略的ターゲットとなるわけです。この戦略的ターゲットに対して、自社の経営資源の強みを生かして市場対応を図るわけです。つまり、戦略的ターゲットに対し自社の経営資源の強みをぶつけていくわけです。

 そこで、どのような経営資源が強みになるかを検討します。有利に活用できる資源が強みであり、そうでないものが弱みですから、やはり、競合他社との比較になるのです。今度は、市場における優位性ではなく、自社の経営資源上の強みと弱みを明確にするわけです。戦略的ターゲットに対して自社の強みをどのように生かして企業が生きていくかを明確にしたものが戦略ドメインなのです。戦略ドメインが明確になれば、それを基にして他社と差別化した商品を開発することができるわけです。

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