シンガポール
シンガポール(1) Feb 2004
 チャンギ国際空港で寝ぼける
ふと、目を覚ますと、やけに天井が高くて明るい所で横になって居た。布団の中でもなく、ベッドの上でもない・・どうやら自宅でないのは間違いないようだ。それと、隣では誰かがベンチで横になっている・・ここは何処?あなたは誰?!
僅か数秒間、いつものそれとは明らかに異なる状況を完全に把握するために要した時間(簡単にいうと、寝ぼけていただけ)が、やけに長く感じてしまった・・そう、ここはシンガポール・チャンギ国際空港の第2ターミナルのフロアの上。未明にも関わらず、多くのトランジット客が通路を行き来している。それと、隣のベンチで横になって居るのは今回の同行者K君だ。
レスト・スペース 朝に気が付いたある日、社の後輩でもあり友人でもあるK君から、マレーシア行きの誘いを受けた。マレーシアはKLに勤務しているS先輩が6年の任期を終え、今年(2004年)3月に日本に帰ってくるので、それまでにマレーシアに行ってみたい。というのが事の発端だ。でもね、K君、きみは一度S先輩に誘われて行って来たんじゃなかったっけ?!えっ、もう一度行きたいって?!もうホントにしょうがないねぇ。でも、残念だけど、私しゃ昨年の旅行で金を使い過ぎて、もう財布の中の余裕が無いんだよ。ゴメンね、行けなくて・・

それからわずか半月後、一度断った私が今度はK君を誘ってチャンギ国際空港に降り立っていた。
節約の為に新幹線は使わずに深夜バスで朝一着の東京へ、そして都内での時間を潰しを終え、夕刻にやっと成田空港でK君と合流。今回の旅行でもお金に余裕のない私は、財布に優しく身体にキツイ旅行をするしかないようだ。仕方がないんでK君にも優雅な旅とは無縁な行程を付き合って貰おうっと。

最も安くKLまでのルートを検討した結果、シンガポールまでの航空券を買い、その後バスでマレーシアのジョホール・バルまではバスで移動、ジョホール・バルにはS先輩に迎えを頼み、そこで合流するという時間は掛かるが最も金の掛からないルートを選択した。
物価の高いシンガポールでの滞在時間は極力短く、行きも帰りも共にシンガポールでの宿泊は一切なしだ。手配したチケットはNW便で、到着が深夜の1時過ぎ、そんで帰国便が早朝6時と気の遠くなるような不便な便なのだが、幸か不幸かそれが最も滞在時間の少ない便だった。チケット代金は\25000、KLまでの約半額程で往復できる料金だ。
 惑う二人と夏の空
夜明け前の6時過ぎ、公共バスの始発を待っていよいよ行動開始だ。昨夜の到着時間では、既にバスもMRT(地下鉄)も動きを止めてしまっていたが、6時にはそろそろ動きだす時間帯だ。
向かう先はYMCA前だ。ここから歩いてベンクーレン通りを抜け、クイーン・ストリートにあるバスターミナルからバスの乗ってマレーシアのジョホール・バルに向かう最も安上がりな移動予定だ。

予定は予定・・あっさりと、目的地を過ぎてしまったようだ。バス代金の1.7S$を払い、意気揚揚として乗り込んだのはいいが、いかんせん降りる場所を過ぎてしまったようだ。前回来たことがあるYMCA前なら今度もなんとか判るだろうと安易に考えていたのだが、あっさりと乗り越してしまったようだ。いつもの事だが、乗るのは簡単だが、降りるのは難しい。K君に「ジョホール・バルまで連れてく」なんて大口を叩いた自分がなんとも恥ずかしい・・。
しばらく走ると、車窓からMRTの文字が見えた。ここからは予定変更だ。MRTでバスターミナルの最寄駅のブギス駅に向かうことにしよう。ここで降りれば、きっと近くにMRTの駅があるハズだ。

とある教会で休息降りた場所はサンテック・シティモール。あまりにも広い場所に降りた為、今度は駅がどの方向にあるのか判らないときた。右か左か、はたまた上(歩道橋)か下(地下道)か・・。ふと、ここで妙案が!今は通勤時間のハズ。だとすれば、人の並みが押し寄せて来る方向へ逆に向かえば駅があるハズ。
距離は長かったが、意外と簡単に駅を見つけることが出来た。着いた先はシティホール駅、たぶん同じ最寄駅でも遠い方を選択してしまったらしい。まぁ、これも愛嬌だ、疲労感を募らせ始めたK君の横顔は見ないようにしよう・・。2駅先のブギス駅までのチケット(1.8S$)を購入し早速乗り込み、降りる際にはキッチリとデポジット(チケット購入の際に1S$余計に取られる)の換金は忘れるもんか。

ブギス駅に着いた頃には、もう9時を回っていた。ちょっと遅いがここで朝食タイムだ。シンガポールは中国人が多い国。歴史的にみれば、元はマレー連邦としてマレーシアと同じ国だったが、その後マレー人への優遇政策に腹を立て、マレーシアとは袂を別った経緯がある。おのずとメニューも中華料理が多い。同行者のK君は、仕事で一年ほど中国で暮らしたことがある。ここでの屋台では、K君にお任せだ。名も知らぬローカルメニューをたらふく詰め込み、やっと安堵の表情を浮かべる二人。
今回の旅は、気が楽だ。いつもの一人旅に比べて同行者が居るのは大いに助かる。移動、食事、宿泊、更には予期せぬトラブルを避けての行動は、ホントに骨の折れる仕事だ。でも、今回は心強い旅仲間が居てくれる。

バスターミナルに着いた頃には、もう既に10時を過ぎていた。今日は2月19日、東京ではポカポカ陽気で春を思わせていたが、それは東京の話。私が自宅を出たときには、雪が舞っていた。暦の上では立春を過ぎて春になってはいたが、まだまだ冬の季節だ。しかし、ここシンガポールは常に夏。今日ももちろん暑い、寒さで毛穴が閉じてしまっている私にとって、この暑さはこれからもっと度合いを増すことだろう。

星柔快車でGOさて、ここからはシンガポールからマレーシアへの国境越えの定番コースとなっているシンガポール・ジョホール・エクスプレス(星柔快車)なるバスでの国境越えだ。
前回訪れた際は金曜日の夕刻だった為、マレーシアに帰る人々でバスターミナルが溢れ返っていたのだが、この時間は嘘のように静かで順番待ちすらない。
マニュアルは至極簡単だ。星柔快車の国境越えバス(2.4S$)に乗り込み、まずはコーズウェイに有るシンガポールのイミグレーションで出国審査、無事に出国したら再度星柔快車に乗り込み(バスは星柔快車ならどれでも良い)、今度はコーズウェイの向こう側のマレーシアのイミグレーションで入国審査を受けるのみだ。バスに乗りさえすれば、あとは流れに乗って移動するのみだ。面倒なのは、いちいち入出国カードに記載しなければならない事。それさえこなせば、難なく晴れてマレーシア入国が叶うという、まるで国境越えツアーのコースのようだ。

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