インドネシア
インドネシア(3)・・スマトラ Jun 2001
 パダンの浸水ホテル
気が付くと乗客は私一人になっていた。「どこで降ろせばいい?」やっとパダンに着いたようだ。どこって言われても困ってしまう。時間は3:00、これほど中途半端な時間はない。もう少し早ければホテルを捜したものを。もう少し遅ければこのまま夜明けを待ったものを。このまま車で寝ると伝えたところ、ドライバーはそれでは困ると言い出した。彼は家に帰るのだそうだ。
途中の休憩所ででドライバーが変わったのは知っていた。前のドライバーには「朝まで車の中で寝てていいよ」と言われていたので安心していた。が、話しが違っていた。
どこに行けばいいのか判らない、どこに連れて行けばいいのか判らない、未明にお互いに困り果て見詰め合う男がふたり・・。
バスターミナルしかたなく、市内中心部へふらふら走り出す車。適当に止まったのは、どうやらバスターミナルの前のようだ。ここで朝を迎えるしかないのだろうか。ふと、辺りを見渡すと、目の前にホテルの看板があった。「ここにホテルがある!」意気込み私に、「こんな時間に空いてるわけないよ・・」つれないドライバー。また沈黙が流れ始めようとしたその時、どこから現れたのが3人の集団が、どっとそのホテルになだれ込んで行った。天は我を見捨てなかった、なんて運がいいんだろう。

たたき起こされたホテルの従業員が、寝ぼけ声で部屋のランクを説明してくれた。スタンダードRp20,000(\300)、エコノミーRp12,500(\190)。もちろん選んだのは快適なエコノミーだ。
シャワー完備(共同のマンディーで、茶色く濁っていた。)
エアコン備付(天然のすき間)
セキュリティ万全(木切れをクギで止めているだけの鍵)
水洗トイレ(水桶が備わっていた。もちろん共同)
快適なベッド(シーツが無く、虫が居そうなので寝袋に包まって寝た)
綺麗な室内(なぜか、三分の一が浸水していた)

今日は大事な用事がある日だ。昨日購入した帰りの航空券(パダン→バタム)のリコンファームをしなければならない日だ。購入先のMerpati航空から念を押されていたからだ。「必ずリコンファームして下さいね。必ずね」しつこい。
で、ここはどこなんだろう・・Merpatiオフィスを捜すついでに、市内のを散策し始めたが、まるで位置が判らない。地図はあるのだが、現在地がわからない。やっとのことで目印の建物を見つけ、おおよその土地勘でオフィスを目指すと、投宿したホテルの前に来てしまった。ホテルで場所を聞くと「隣」とたった一言の返事。そう、Merpatiオフィスはホテルの隣の建物。

とんがった屋根次に目指すのはブキティンギだ。パダンから約2時間30分ほど離れたこの街は、標高900mを越える高原に位置し、観光名所にもなっているところだ。
バスに乗ると次々と物売りがやって来た。水、お菓子、タマゴ、新聞、中にはギター片手に歌を披露するミュージシャン?!まで乗り込んで来た。勝ってに乗って勝手に降りていく。こうやってバスで行ったり来たりしながら売り歩いているようだ。
いつの間にか、貧相なじいさんが乗り込んできた。紙を配って置いていったが、意味がわからない。年金手帳か身障者手帳かのようなコピーを見ても、皆目見当がつかない。しかし、ここはムスリムの国。アザーンの響きがクラクションで消されようが、ビンタンビールが売られていようがムスリムの国。乗客はバクシーシを忘れない。もちろん私も。
 ブキティンギで憩う
今日は朝から何も食べていない。水も飲んでいない。金がないわけでも、レストランがないわけでもない。私は便通が非常に良いのだ。1日に3回はウンチがでるスペシャル便通だ。朝から何か食べれば、トイレに行きたくなるのが目に見えている。オシッコならいいが、出るのはウンチだ。これは困る。だから今日は何も食べなかったのだ。

終着のバスターミナルに着いたのは正午過ぎ。本来ならそのまま食事といきたいところだが、まずは現在位置を把握しなければ路頭に迷いそうだ。が、しかし、地図にはここのバスターミナルが記されていない。街の中心には時計塔があるはずだ。捜し求めて歩いても何処にもない。おじさんに聞くと500m向こうだと言う。が、歩けど歩けどそれらし物がない。今度はおにいさんに聞いたところ、親切にもミニバスを止めてくれ、更に運転手に行き先まで告げてくれた。
時計塔ミニバスの車内は女学生(中学生かな)で占められていた。この中に乗って良いんだろうか。おじさんはちょっと恥ずかしかった・・。時計塔付近に着いたのは、20分後。どうやら、500mと5,000mを聞き間違えたらしい。あのまま歩いていたら、きっと路頭に迷っていたことだろう。
このミニバスは庶民の足になっている。わずかRp500(\8)で市内のほとんどどこへでも運んでくれる便利な優れものだ。

バスが止まった目の前には立派なホテルが建っていた。いかにも高そうなホテルだが、聞くだけタダだろう。名前はDahlia Hotel、料金はRp50,000、それもホットシャワー付きだ。家を出てから全くシャワーを浴びていなかった私は、このホットシャワーの魅力にとりつかれてしまった。
値切って(Rp40,000(\600))泊まったこのホテルにはテラスまであり、なんとも優雅な気分に浸れた。ここブキティンギには、今までのインドネシアにあった喧騒がない。静かでのんびりと落ち着いたところだ。

旅行とは、三つのうちのどれかを無駄にすることだと言う。
(1)金の無駄使い
(2)時間の無駄使い
(3)体力の無駄使い
日本人で多いのはやはり(1)だろう、欧米人はおそらく(2)、そして私は間違いなく(3)だろう。
ここまで来るのに、この歳にしてはハードな連続だった。なんの為に、なぜ、ここまでやって来たんだろう。何か目的でもあったのか。同じインドネシアならバリ島でのんびりとすれば良かったんじゃないのか。
旅のスタイルは人それぞれ、何もしないで1日を送るも良し。スポーツやレジャーで過ごすも良し。私のスタイルはなんだろう。あっちこっちに行って、ただ単に体力の消耗を図ることなのかも知れない・・。

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