ブラジル(4)・・サンパウロ
Feb 2003
 ガキは嫌いだ
カテドラル結局、一睡も出来なかった。シウダー・デル・エステからサンパウロまでのバス料金はUS20なり、サンパウロからフォス・ド・イグアスまでが$47なのに比べると遥かに安い。それも、距離がこっちの方が遠いのに。これってラッキー!
って甘かった・・。南米のバス料金は値段通りの設定とは聞いていたが、このバスも安いだけあってリクライニングも僅かの普通のバス。
更に悪かったのは、隣の乗客ベネズエラ人。こいつがホント煩かった。世間話しをするならまだ良いが、落ち着きの無い奴だった。バスの休憩時間でも、ウルグアイの出国でも、ブラジルの入国でもバスを降りる時は一番じゃないと気がすまない性格なのだ。通路側に座っていた私はその度にせかされ、他の乗客を掻き分けるように降りなければならず、顰蹙もんだった。
でも、奴の話しが北朝鮮問題に踏み込んだ時、思わず返事に窮してしまった「もし、北朝鮮がテポドンを日本に向けて発射したら、日本はどうするのだ?」国際情勢での゛いまそこに有る危機゛を彼は的確に掴み、その答えを求めて来たのだ。有事の際は、まず間違いなく韓国と同時に攻撃を受けるであろう日本。当事者の日本人の一人である私はその満足に応えられなかった・・。

そして夜、皆が寝静まり穏やかな休息時間と思いきや、後ろの座席のお子様が全然寝ない。それだけでは無い、このお子様、歌を延々と歌っておいでだ。だからガキは嫌いだ!
 神様、見守ってください
サンパウロまでのバス時間は24時間と聞いた。シウダー・デル・エステを出発したのが午後3時頃、それならサンパウロに着くのはもちろん午後3時頃のハズ。聞き間違いではない、別々の人からそれぞれ同じ答えが返って来たのだから、間違いない(ハズ)だ。
で、時計の針は朝8時、ここはバス会社の
営業所だ。途中、何箇所かのバスターミナルを経由した後にここまで辿り着いた。乗客はいつしか私ともう一人の二人だけになってしまった。
見守るキリスト像ここは何処なんだろう・・。もう一人の乗客は友人が迎えに来て居なくなってしまった。残る乗客は当然私一人、それと暇を持て余したようなおっさんらしき方々が数名だ。
長い休憩時間をもて余し、トイレで遊んで来るとバスが無い。さっきまで止まっていたバスが居なくなっていた。おいおい何処へ行ってしまったんだい。メシでも食いに行ったのかな。それもバスで。
変だとは思いながらもバスを待っていたが、一向に戻って来ない。散歩がてら通りに出ると、そこには目を疑いたくなるような車が並んでいた。ナンバープレートは全てサンパウロ!ってことは、もうサンパウロに着いていて、ここはバス終着所じゃないか。そして私の荷物はバスの中・・
トイレでの遊び
南半球で水が渦を巻くのは左、
北半休では右って聞いたので 
試していた。→その度に違った
おっさん達に聞いてみようにも、ポルトガル語が判らない。「私の荷物を積んだままバスが何処かに行ってしまった」なんて難しい言葉は浮かびようもない。やっと捻りだした言葉は「bagagem(荷物)、uno(一個)、dos(二個)、bus(バス)」後は身振り手振りで伝えるのみ。
必死の思いは伝わるもの。おっさん達はなんとか理解してくれ、一緒に慌ててくれた。その騒ぎを聞きつけ、奥からのこのこと職員が出てきた。それも私の荷物片手に・・。だったら最初から持って来いっての!
紳士達に優しく見送られ、営業所を後にする私。感謝の気持ちを身体一杯で表現し、気持ちは晴れ晴れとしていた。・・でも、ここは何処?確かサンパウロって南米でも一際治安の悪いところだったような・・どうか神様、私を見守って下さい。ブッディストの私は、目の前にある教会上部に鎮座するキリスト像に祈るのでありました。
 セー広場の達人たち
そんなこんなで、思いっきり早くサンパウロに着いたが、行く宛てもない。フライト時間までは有に14時間。流れに任せしばらく歩くと、いつしか地下鉄の駅に辿り着いた。
いつしか私は観光客気分。折角サンパウロ着たんだから、観光しなくちゃつまらない。ガイドブックをめくると、どうやらセー広場なるところが憩い場所のようだ。地下鉄に乗り込み、まずは反対方向へ、しばらくして気が付いて引き返しセー広場へ。
ここセー広場は、当地が治安の悪さでピカイチなのが嘘のような光景だ。掃除も行き届いており、行き交う人々も穏やかに見えるのは気のせいか。
あちこちで人だかりがする。それぞれでは、今まさに芸達者な人たちが一発芸を披露していた
動かないマリア像 観客を相手に手品を披露 ナイフが刺さった輪をくぐる
身じろぎもせず、ジっと動かない
白いマリア様はまるで人形のよう
なかなかの腕前の手品師
観客相手の問答がまた面白い
ん、この輪をくぐるって?!
短剣がいっぱい刺さってるって
 癒しの空間
一際大きな人だかりでは、路上ライブを行っている一団が居た。観客の中には、昼間からすっかりと出来上がり、盛んに声援を送っている者もおり、他の路上芸人達よりも盛り上がりを見せていた。

路上ライブ フォルクローレだろうか、管楽器を手に美しい音色を奏で、歌声は哀愁を帯び、なんとも憩いのひと時を与えてくれた。今日は南米最後の日、どうなるかは判らないが、恐らくは南米にもう一度足を踏み入れることはないだろう。そんな私に、いままでの肉体的な疲れ、精神的な疲れ、更には日本での雑多な煩わしいことの多い日常、その全てを取り除いてくれる癒しの空間がここにはあった。

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