(前沢中の生徒と懇談し、笑顔を広げる前沢老人クラブ連合会のメンバー)

 奥州市前沢区の前沢老人クラブ連合会(佐藤茂会長、会員1,341人)は19日、同区の前沢中(高橋伸校長、生徒446人)で、3年生25人と懇談会を始めて開いた。同連合会は全国的にも珍しい中学校の会議室で生涯学習教室「ふれあい学級」を月1回開いている。生徒の反応を気にする会員もいたが、生徒からは「もっと交流を深めたい」という声が多く寄せられた。
 懇談会には会員約40人が参加。同校の元校長鈴木秀悦さん(64)の司会で向き合って対話をした。同区生母の菊地安子さん(81)は「普段から感じているが、子どもたちはあいさつが立派だ」、同区生母の吉田フミコさん(83)は「子どもたちの笑顔を見て安心した」と喜んでいた。
 生徒からは「小さいころの遊びを教えてほしい」「中学生の授業を参観してもいいのでは」などの声が続いた。菊田倫子さんは「目と目を合わせて笑顔を浮かべてもらい、うれしかった」、鈴木翔太君は「高齢者の方を大切にしようと思った」と話していた。
 全国老人クラブ連合会によると、老人クラブが学校の会議室などで活動するケースは全国的にも珍しいという。会員らが2002年に新築された校舎を見学した際に「こんな立派な校舎で勉強したかった」と感想を述べたのがきっかけ。同校や町教委らが協力し、03年度からふれあい学級が開かれている。
 同区に在住する書道、絵画の専門家や直木賞作家三好京三さんらを講師に、会員らは生徒と同様にチャイムで時間を区切って講義を受けている。
 同会は、06年度でふれあい学級を終了し、総括として懇談会を企画したが、「ふれあい学級専攻科」と名称を変更しさらに2年間開催することを決めた。佐藤会長(84)は「子どもたちと打ち解け、敬愛されるような存在でありたい」と話していた。
 ふれあい学級は同校の卒業式と同じ314日、同校で卒業式を予定している。

(平成19年2月21日付「岩手日報」朝刊掲載)