狩りの道具作り
宮古市教育委員会、平成3年発行の「ふるさとの歴史展」資料などより


愛媛県の優樹くん。お便りありがとう。このページは11年4月9日の君の質問から作ったものだよ。縄文じだいことにきょうみを持って、いっしょうけんめい調べているんだね。とってもえらいです。
 さて、しつもんことですが、縄文じだいの、かりの道具は、石器やほねで作ったことは知ってるね。問題はどうやって作ったかとか、どう使ったかですが、細かいことまでは今ではわからないのです。でも、縄文じだいをそうぞうして、それをいろいろじっけんしている人たちもいますよ。


狩りの道具を作る
縄文時代にもっとも多く使われた狩猟具(しゅりょうぐ)、それは「弓矢(ゆみや)」でした。矢じりは縄文人のすばらしい技術によって「石」からつくられました。石を打ちかき、そのかけらをていねいに整形(せいけい)し、矢じりを作っていきます。矢じりは「根ばさみ」ではさみ、まっすぐな矢柄(やがら)をつけます。
左手を厚い布で保護して矢じりを支え、右手の矢柄で挟み込む
弓はカヤやイチイ、弦(つる)は植物の繊維(せんい)を、よりあわせたものを使ったのでしょう。弓矢の威力(いりょく)はかなりのもので、矢じりが骨まで深くつきささったまま出土した例もあります。
 このような実験もあります。「アメリカのポープという人類学の先生が、同じ重さの黒曜石(こくようせき)の矢じりと鉄の矢じりをつけた2本の矢を使って、同じ距離から同じ弓を使って、同じだけ振りしぼって的を射ました。的は、外にシカの革をはり、内側にはウシの肝臓を詰めてありました。そうすると、驚いたことに、黒曜石(こくようせき)を使った矢じりの方が25%も深く突き刺さりました。鉄の矢じりの方が負けたのです。」 
佐原真 遺跡が語る日本人の暮らし 1994 岩波書店より
弓矢を構える人。縄文風の服を着ている
縄文時代の漁を再現する

縄文時代の漁(りょう)を実験的に研究している楠本政助(くすもとまさすけ)先生は、縄文人の知恵(ちえ)にならって、釣り針やもりを実際に作り漁を試(こころ)みました。実験に使われた銛先(もりさき)は、15cmで、シカの角(つの)でできています。磯(いそ)の至近距離(しきんきょり)にいる魚は、このようにしてついたのでしょう。

岩磯で銛を構える先生
銛で突き刺した魚
参考資料
「考古学への招待」歴史の読み方3 白石太一郎編集 朝日新聞社 1988
「古代の知恵を発掘する」 戸沢充則監修 福武書店 1986
「漁労具とその使用実験」 楠本政助「季刊考古学」創刊号 雄山閣 1982

優樹君。少しむずかしい資料しかなかったけど、がんばって勉強してね。
縄文時代の人たちのえらかったところは、人間もしぜんの一部だということをよく知っていた。だからしぜんを大事にし、そんけいしていた。現代の私たちも見習わなくちゃね。
じゃ、またお便りまってるよ!