国土交通省湯沢工事事務所への質問書(左)と回答書(右)  伐採の実態はこちら

国土交通省
東北地方整備局湯沢工事事務所所長
             高 橋 定 雄 様

  
ダム建設にかかわる測量基準点設定とそれによる猛禽類への影響についての質問書
 

                       成瀬の水とダムを考える会

 貴事務所におかれましては、地域住民の生活向上と安全確保のため、国土計画全般にわたり日頃よりの御難儀をいただき、深い感謝と敬意を表します。

 さて、当地では、5月末告示されました多目的ダム「成瀬ダム事業」が進行中でありますが、最近、工事予定区域隣接地の山林に、29ヶ所(当会確認)のGPS測量にかかわる樹木伐採が行なわれました。
 ご存知のように、当該地域は、本来森林生態系保護地域として指定さるべき工事地域ではありましたが、ダム計画との関連で指定が除外された地域であることは、何人も認めるところであります。したがって当該地域の現状は、極力その改変を避けるような配慮が必要と考えられますが、如何でしょうか。
 以上の観点から、緊急に別紙の点について御質問いたします。できるだけ速やかなご回答をお願いいたします。

[別紙]

1.今回の基準点設定の目的は何か。(1級基準点7ヶ所、2級基準点22ヶ所)

2.基準点の個数は、どのような設定理由により決められたか。

3.基準点周辺の伐採は、どのような規格・基準で行なわれているか。

4.GPS測量でのこのような自然破壊に、各施設ごと、事業者は立ち会っているのか。

5.当該ダム工事施行上、GPS測量は必要不可欠なものか。自然破壊を最小限にするための他の方法は検討されたのか。

6.工事の進捗日程上、このたびの伐採に緊急性はあったのか。

7.今回設置した基準点のなかには、クマタカ営巣活動地点と接近したものが認められるが、事前にどのような検討があったのか。


8.猛禽類の調査は継続中と考えるが、そのことと今回の樹木伐採との整合性について説明してください。

前略
 日頃より成瀬ダム建設事業に対しまして、貴重なご意見を賜り御礼申し上げます。
 さて、先日頂きました「ダム建設にかかわる測量基準点設定とそれによる猛禽類への影響についての質問書」について、別添のとおり送付いたしますので、よろしくお願い申し上げます。
 また、貴会をはじめとする多くの皆様からのご意見を今後とも参考にしながら、成瀬ダム建設事業をはじめとする社会資本整備を進めて参りたいと考えておりますので引き続きよろしくお願いいたします。
 なお、別添の内容につきましては、「成瀬ダムイヌワシクマタカ調査委員会」へも報告済みであります。
                                                    草々

                H13.12.21
                        湯沢工事事務所長
                        (担当 地域づくり相談室)

別添

1.今回の基準点設定の目的は何か。(1級基準点7ヶ所、2級基準点22ヶ所)

 ダムの湛水範囲などを測量するための基準点測量であります。

2.基準点の個数は、どのような設定理由により決められたか。

 湛水区域を確定するために、必要な範囲(面積)を測量することとなります。
 当該面積で、必要な精度を確保するために29箇所の基準点が必要となります。

3.基準点周辺の伐採は、どのような規格・基準で行なわれているか。

 伐採の範囲は、衛星からの受信障害となる樹木等が測量作業上では支障物となる。
 これに該当する樹木等が伐採の対象となります。

4.GPS測量でのこのような自然破壊に、各施設ごと、事業者は立ち会っているのか。

 立ち会っています。

5.当該ダム工事施行上、GPS測量は必要不可欠なものか。自然破壊を最小限にするための他の方法は検討されたのか。

 当該基準点測量は、湛水区域確定等のために必要不可欠です。測量方法として、樹木伐採等環境面への最も少ない方法としてGPS測量を採用しています。
 なお、通常行っている地上測量の場合、樹木伐採はGPS測量よりかなり面積が増大します。

6.工事の進捗日程上、このたびの伐採に緊急性はあったのか。

 湛水区域確定は、ダム事業全体の基本的事項であり、現時点で実施する必要があります。

7.今回設置した基準点のなかには、クマタカ営巣活動地点と接近したものが認められるが、事前にどのような検討があったのか。

 事業実施のうえで不可欠な測量作業の実施にあたり、猛禽類の生息への影響を最小限にとどめるため、測量の工法、作業実施時期等の検討を行い、伐採範囲を最小限にとどめたところであります。

8.猛禽類の調査は継続中と考えるが、そのことと今回の樹木伐採との整合性について説明してください。

 猛禽類調査は現在も行っており、今後も継続していきます。
なお、今回の測量は、事業実施のうえで不可欠な測量作業の実施にあたり、猛禽類の生息への影響を最小限にとどめるため、測量の工法、作業実施時期等の検討を行い、伐採範囲を最小限にとどめたところであります。

 

11月21日、国土交通省湯沢工事事務所へ質問書を提出

マスコミからの取材を受ける同所の佐藤伸吾・建設専門官

 

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