もう一つの白神にダム計画進行中

自然破壊と税金の無駄使い・・・そして重い負担だけが明日に残されるのでは?

イヌワシが飛んでいる山
    絶滅危惧種ってなぁに

増田町から三○キロほど山に、ダム計画が進められています。そこはイヌワシやクマタカが一○○回以上も目視された場所です。ダムが出来ても、ほかへ飛んでいけば大丈夫というのが、調べた人の考えです。でも、現実に「絶滅の心配」が出てきた鳥たちなのです。日本中で、今年も、ほとんど増えなかった、育雛に失敗したと報告されています。これ以上、住む場所を縮めたら佐渡のトキと同じ運命と断言できます。だから絶滅危惧種なのです。

イヌワシがいなくなることは人の運命も危ないということ

食物連鎖という話、ご存じでしょう。イヌワシは生態系の頂点に位置する動物です。人も生態系の頂点にある生き物です。つまり、イヌワシが生き続ける環境が駄目になったということは、人間にとっても大変な環境に近づているというサインなのです。決して珍しい生き物だから大切だということではありません。

ダム予定地点は白神クラスの自然の宝庫

成瀬ダム予定地点は生態系保護区域(白神も同じ)に指定されています。ヤマネやオコジョが走り、川にはハリザッコや、エゾウグイといった宝物のような魚が泳いでいます。クマタカ、ハチクマ、アオバト、ヤマセミ、アカショウビンといった昔の鳥たちがとびまわっています。クマゲラの古巣がいくつも発見されています。正にここは自然の宝庫なのです。

秋田県最大の成瀬ダム計画

いま県内で一番大きいのは玉川ダムです。成瀬ダムはそれよりも堤の高さ、堤の長さ工事費などさらに大きくなっています。それだけ環境破壊は巨大なダムです。お金はかかるがその効果は玉川ダムの半分と計算(建設省)される効率の悪いダムです。洪水調節能力は の設計(建設省)ですが、集まってくる水の面積は ですから、この設計はあてになりません。
総工費一五○○億円、それにみあう用水路などの事業費四百億、たいへんな無駄。そのお金が農家や市町村や国から出ます。国はその分、福祉などのお金が不足します。

このダムの最大の目的は農業用水にあると私たちはみています。でも、農業用水は3割減反ですから、以前ほどは不要になっています。おまけに用水路の仕組みから、農業用水が無駄に流れやすい仕組みになっています。
9月にはいって、農水省から、びっくりする資料が発表になりました。横手平鹿地区の田んぼで使う地下水が一シーズン五七○○万トンにもなったというのです(平成4年実績)。 これだけの水があれば三千ヘクタールの水田の稲を育てることができます。 横手平鹿には約一万ヘクタールしか水田はありませんから、驚くほど地下水を無駄使い していることになります。

農業用水は足りないのではなくて無駄使いをしているのが現実です。

そうでなくても、いま自治体はたいへんな借金でどこも必死です。これからは下水道 の赤字が町に重くかかってくるでしょう。山は荒らされて、保水力がなくなっているの に、それを直すお金もなく、働く人もみな高齢です。
それでも貴重な自然を壊してまで、このダムは必要なのでしょうか。
大切なお金を本当に地域の未来の生活に役立つことに使いましょう。

成瀬の水とダムを考える会(事務局:十文字町下佐吉開・熊沢方)

私たちは水の有効利用と地域生活の向上を願っています。

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