●低身長について

 お子さんの背が低いのを気になさっておられる親御さんもいらっしゃるかもしれません。

 全体的には、昔に比べて子どもの平均身長が伸びていることはあらためて言うまでもありませんが、中にはその年齢の標準身長よりかなり低い身長のお子さんもいらっしゃるはずです。

 それでは一般的に、どのくらい背が低ければ問題になるかと申しますと、その年齢の標準身長よりも、標準偏差の2倍以上低い場合を一応問題にします。といってもピンとこないと思いますが、例えば7歳の男児の場合、標準身長は120aですが、問題となるのは110a以下です。10歳では124a以下が問題になります。

 ただ、このような低身長であっても、病気ではない、いわゆる体質性の低身長の方が多いのですが、病気による低身長が含まれている可能性があります。

 例えばどんな原因があるかと言いますと、成長に関係するホルモンの出方が悪いために起こる低身長、骨の発育が悪いために起こる低身長、染色体異常による低身長、主要臓器に問題があって起こる低身長などがあります。

 成長ホルモンは、頭の脳下垂体という所から出ているホルモンですが、このホルモンの出方が不十分なために起こる低身長は、早く診断して治療するほど、身長の伸びが良いことがわかっています。検査をして、成長ホルモンの分泌が悪いための低身長であることを確認できれば、成長ホルモンの投与によって確実に身長を伸ばすことができます。骨の成長がそろそろ止まるころになってから治療を開始しても、身長の伸びはあまり期待できません。

 甲状腺ホルモンも成長、発育に関するホルモンですが、このホルモンが不足でも身長の伸びが悪くなります。

 骨の発育が悪いために起こる低身長で最も多いのが軟骨異栄養症という病気で、体幹に比べて四肢が短く、生後間もなく気付かれます。

 染色体異常によって起こる代表的な低身長をきたす疾患としては、ターナー症候群という病気があります。これは、女児の2本あるX染色体のうちの1本が欠損しているか、または異常なために低身長その他の症状を呈します。

 主要臓器、心臓、肝臓、腎臓などに重い病気があっても成長に影響を及ぼします。

小笠原芳彦(水沢市・小児科医師) 胆江日日新聞社より