●とびひ(伝染性膿痂疹)

 今回は、「とびひ」についてお話します。とびひになったことのあるお子さんをおもちの方は、すでにご存じのことと思いますが、とびひを見たことのない方もおられると思いますので、とびひについて少し説明させていただきます。

 とびひは、最初は1_程度の小さな水疱から始まりますが、だんだん広がり2〜3日で指頭大になります。水疱は破れやすく、破れると「びらん=ただれること」になり、そこに薄いかさぶたができます。水疱が破れて液がほかにつくと感染して、どんどん増えていきます。鼻孔のあたりから始まって、おなかや背中、手足と広がることが多いです。

 ひとつひとつの病巣はだんだん乾燥して10日間くらいで治りますが、全体が治るまでには2〜3週間ぐらいかかることが多いです。普通は発熱はみられません。

 とびひは、皮膚にブドウ球菌や連鎖球菌が入り込んで発症します。治療は、まず病変部をイソジン液などの消毒液で消毒し、抗生剤入りの軟膏を塗ります。いじると広がっていくので、まだ小さいお子さんの場合は、ガーゼで被うなど工夫が必要です。

 浴槽に入ることは避けて、シャワー浴で汗を流しましょう。特に他の乳幼児と一緒の入浴は避けて下さい。タオル類の共用も避けましょう。伝染防止のため、びらんが乾燥するまでは幼稚園や保育園などは休ませてください。

 はじめにきちんと手当すればよいのですが、とびひはとても広がりやすいものです。とびひのようだと思ったら、皮膚科か小児科で受診して、完治するまできちんと治療してください。抗生剤を内服したほうが早く治ります。また、かゆみ止めの飲み薬を使うこともあります。

 とびひは、アトピー性皮膚炎、虫刺され、あせもなど皮膚の傷のあるところにできやすいものです。季節は、高温多湿で汗がいっぱいでて、皮膚も不潔になりやすい7〜9月に起こりやすく、年齢は1歳〜6歳ころまでの子どもがなりやすいです。

 予防には、日ごろから皮膚の清潔を心掛け、汗をこまめに洗い流すこと、虫刺されや傷を早めに手当すること、手の爪は短く切り清潔にしておくことが大切です。

村井かほり(水沢市・小児科医師) 胆江日日新聞社より