●溶連菌感染症

 集団生活(保育園、幼稚園、学校)で、しばしば聞く病気ですが、とくに5〜15歳ごろの子供に多く見られます。病気の原因になるバイ菌は溶血性レンサ状球菌という長ったらしい名前で、その種類はたくさんありますが、その中でA群溶レン菌というので発病します。患者さんの唾(つば)、鼻汁などが飛び散って、鼻とか口から侵入します。時には食物を介しての感染や、皮膚の傷ついた所からも入り込むこともあります。

 潜伏期間(バイ菌が侵入してから症状の出るまで)は1〜4日で、年齢によって症状に軽重がありますが、一般には発熱(39〜40度)と咽頭痛(のどの痛み)、関節痛、ときには腹痛を訴えることもあります。咳(せき)とか鼻汁などはほとんど見られません。口を開けてみると咽(のど)が真っ赤で「へんとう腺」もまた、真っ赤にはれ、ときには膿(うみ)が出ていることもあります。

 また、舌の表面がブツブツして苺の表面のようになりますので「苺舌」と名付けております。また、バイ菌の毒素でこまかい発疹が身体に出ることもあり、これがかつて猩紅熱(しょうこうねつ)と呼ばれたもので、この発疹は4〜5日で消えて、その後、米糠様、時には指の先の皮がむけてきます。

 現在では、ペニシリンや非常に効く薬がありますから、それほどこわい病気ではなくなりましたが、医師の指示に従って薬を服用して下さい。途中で止めますと、腎炎とかリウマチ熱を起こしたりします。

 なお、強くはありませんが伝染力があるので、通園、登校の停止期は病気の状態によって差があるものの、主治医が認めたときとなっています。

中村一雄(水沢市・小児科医師) 胆江日日新聞社より