●ヘルペス

 ヘルペスとは、一般に単純ヘルペスウィルス1型と2型による感染症を言います。初めての感染か再発なのかによっていろいろな症状がみられます。

 単純ヘルペスウィルス1型の初めての感染の場合には、不顕性感染と言って感染しても症状がでない場合がほとんどですが、小さな子供の場合には、熱が出て唇や口の中に痛々しい口内炎ができることがあります。痛みが強くて何も食べられなくなり、点滴や入院が必要になることもあります。

 また、アトピー性皮膚炎のひどい部分からヘルペスウィルスが感染すると皮膚にたくさんの水ぶくれができて、まわりが赤くなり、リンパ腺も腫れてきます。高い熱が出ることもあります。

 ヘルペスウィルスの初感染は、1〜3歳くらいの子供の口内炎の原因として一番多いものです。症状としては、口が痛んで唾液が多くなり食事をとらなくなります。熱はしばしば40度にまで達します。発熱や不機嫌が1日から2日くらい続いた後に口の中に病変があらわれてきます。

 最初は水泡ができてきますが、これはすぐ破れて直径2〜10_くらいの浅い潰瘍(かいよう)になります。このような病変は舌と頬の内側の粘膜によく見られます。

 また、歯肉の発赤が少しこれらに先行してあらわれる場合もあります。顎(あご)の下のリンパ腺が腫れることが普通です。このような症状が4〜9日間続き、その後自然に消退します。

 このような最初の感染の後、ヘルペスウィルスは排除されることなく体内に潜んで再発をおこすという特徴があります。

 ヘルペスウィルスの再発は口唇ヘルペスと呼ばれます。皮膚と粘膜の境にできることが多く、皮膚の違和感、ひりひりする感じが2〜3日続いたあと皮膚が赤くなり、その上に薄い膜をもった水泡が集まって出てきます。発熱や倦怠感などの全身的な症状はなく、1週間から10日くらいで痕を残さずに治癒(ちゆ)します。

 口唇ヘルペスに見られる水泡の中にはヘルペスウィルスがたくさん存在しているので、直接的な接触や、唾液、手などを介して伝染するので注意が必要です。

 再発は、かぜなどのほかの病気、紫外線を多く浴びた場合などをきっかけとして起きると言われています。

檜山陽司(水沢市・小児科医師) 胆江日日新聞社より