●百日咳

 予防接種(三種混合ワクチン)が実施されるようになってから、百日咳はめったに見られなくなりました。でも百日咳は結核と同じように新生児(生まれたばかりの赤ちゃん)でも感染すると、ほとんどの赤ちゃんは発病する恐ろしい病気です。

 もちろん、患者の咳で飛び散った百日咳のバイ菌を吸い込んで症状が出てくるのです。バイ菌を吸い込んで症状が出てくるまでの間を潜伏期間と言いますが、10日間前後して咳が出始めます。

 はじめは普通の風邪のような咳ですが、次第に激しくなり、顔を真っ赤にして咳き込みます。とくに新生児などでは呼吸ができなくなり、顔や口びるが紫色(チアノーゼと言います)になり、ときには呼吸が止まったりすることもある恐ろしい病気です。

 また、百日咳の時は出血しやすくなり、鼻血、眼球結膜の出血とかも見ることがあります。

 強く咳き込んだ後で痰(たん)を吐き出して咳が止まりますが、もうひとつの咳の特徴としてコンコンと続いた後で「ヒュー」と内に引き込むような呼吸をすることがあります。これをレプリーゼと言って百日咳で見られます。まれにですが肺炎、脳炎などの合併症もあります。しかし、ワクチンの接種により、前述のような定型的なのは珍しくなりました。

 そこで予防接種を忘れないで下さい。対象年齢は生後3ヶ月から90ヶ月未満ですが、初回接種の標準年齢は生後3ヶ月から12ヶ月とされています。なお、水沢市では生後12ヶ月から接種しています。

 未接種年齢の赤ちゃん、とくに新生児などは百日咳の患者に近づけないことが大切です。

中村一雄(水沢市・小児科医師) 胆江日日新聞社より