●新生児も石けんで洗顔を

 新生児はお母さんの女性ホルモンが移行した状態で生まれてきます。ですから、おっぱいが腫れて少量の乳汁分泌を認めたり、女の新生児に月経様の性器出血を認めることもあります。

 そして、思春期のように皮膚の脂の分泌も盛んです。新生児ざそうといって、にきびができることもよくあります。

 新陳代謝が盛んなので、皮膚から脂やア力が思ったよりたくさん出てそれが、汗やホコリと一緒になって固まると、脂漏となります。赤ちゃんの頭や眉毛や小鼻のわきなどにみられる脂っこいかさぶたのようなものです。放っておくと皮膚が刺激されて、赤くなったりかゆみが出現したりして、乳児脂漏性湿疹となります。

 新生児の入浴の際、顔はお湯をつけたガーゼでぬぐうだけのことが多いようですが、顔も頭もベビー石けんをよく泡立てて、やさしくていねいに洗ってあげてください。そして、十分にすすぎ流してください。

 私は、めんどうくさそうなのでベビーバスは使いませんでした。産婦人科を退院してすぐから、自分と赤ん坊といっしょに家庭用浴室で入浴しました。

 すすぎのお湯がじゃんじゃん使えるので、石けんも思いきり泡立てられてよかったです。育児書の指導に反するようですが、ベビーバスは必ずしも必要でないと思っています。でも、赤ちゃんを落っことしそうで怖いという方は、どうぞまねしないでください。

 赤ちゃんの首や脇の下や股のつけねは、ひだになっていて、風通しが悪いです。そういう所も石けんでよく洗って、水気をよく拭いておかないと、カンジタが繁殖して、赤くなったりじくじくただれたりしやすいものです。

 力ンジタというと、伝染病のような悪い菌がついたのかと、びっくりなさる方もいらっしゃいますが、そうではありません。だれの皮膚にもいる常在菌がもともと免疫力の弱い赤ちゃんでは勝手に増えてしまいやすいのです。

 ベビーパウダーは、皮膚のヒダになっている所にいっぱいつけると湿気を吸ってかえってじくじくするもとになるので、ごく薄くはたくくらいにとどめてください。

板倉紀子(水沢市・小児科医師) 胆江日日新聞社より