●赤ちゃんのうんち

 母乳栄養の赤ちゃん、特に新生児では、うんちは下痢状で普通です。おむつをかえるたびに水っぽい便が出ていて、肛門のまわりが赤くなって、小さいびらん面が点々とできることもあります。そういう時は、あえんか軟膏を肛門のまわりにパックするように、厚く塗布するとよいようです。

 母乳栄養の新生児では、うんちも頻回、おならもよく出るのに、おなかがポンポコにはってしまうことがあります。病気ではありませんし、新生児期をすぎればよくなります。

 あまりパンパンの時は綿棒の綿のついているところぐらいまでを肛門に突っ込んで、そっと綿棒を回してみてください。そして、赤ちゃんのおなかを赤ちゃんの足のほうにいるお母さんから見て、のの字を書く向きにマッサージしてあげてください。いっぱいガスが噴出して、おなかが柔らかくなります。

 お母さんの顔や手に、ガスといっしょにうんちが飛び散るかもしれません。でも、かわいい新生児のうんちですから、お母さんはキャーと言いながらも、少しも汚いとは感じません。うまくガス抜きしてあげられると、うれしいものです。

 新生児期をすぎると、生後2ヶ月から3ヶ月ごろに、うんちが何日も出なくなることがあります。1週間も排便しなくても、赤ちゃんは苦しそうでもなく哺乳も良好です。

 そんな時は、前述のように肛門に綿棒を入れて、おなかのマッサージをしてください。綿棒で少しだけ肛門を拡張させるような気で回すのがコツです。

 赤ちゃんは、自然にウーンときばりたくなって、うんちが出ます。泣いていると、きばれませんから、泣いていない時にしてください。うまくいくと、かぼちゃスープをどろどろにしたような柔らかいうんちがいっぱい出ます。

 生理的な肛門の反射で排便させるのですから、クセになるからいけない、ということはありません。しばらくそんなことを繰り返しているうちに、離乳食が始まる前ごろに自然と治ってしまいます。

 母乳やミルクを飲んでいる赤ちゃんのうんちの色は、草っ葉色の緑色でも正常です。

 生後6ヶ月以下の母乳栄養児の便に点々とごくこく少量の血が混じることがあります。良性母乳性直腸出血といって、心配のないものです。

 ときに、母乳を介した食物アレルギー(アレルギー性腸炎)の場合もあるらしいですが、体重増加、発育が良好ならば心配いらないでしょう。

板倉紀子(水沢市・小児科医師) 胆江日日新聞社より