2008/3/5 日本医師会 ※本件についてはすべて厚生労働省当局に確認済みのものである
【後期高齢者医療制度】
Q1.後期高齢者医療制度とは何か。
A1.平成20年4月1日をもって老人保健法が高齢者の医療の確保に関する法律に改正されることに伴い、後期高齢者を対象とした新たな医療保険制度である。
Q2.後期高齢者とはどのような方か。
A2.以下の者である。
@ 75歳以上の者 (75歳の誕生日から資格取得)
A 65歳以上75歳未満の者であって、一定の障害の状態にある旨の後期高齢者医療広域連合の認定を受けたもの(認定日から資格取得)
Q3.後期高齢者医療制度が平成20年4月1日から創設されることにより、保険医療機関等の窓口対応や請求方法はどのように変わるのか。
A3.後期高齢者は、後期高齢者医療広域連合が交付する後期高齢者医療被保険者証を保険医療機関等に提示する。保険医療機関等の窓口では従前どおりかかった医療費の1割(現役並み所得者は3割)を徴収する。なお、後期高齢者医療についても従前どおり診療報酬請求書及び明細書により請求するが、記載方法等については、後日、記載要領等で示される。
Q4.後期高齢者医療制度の創設により、患者の持参する被保険者証に変更はあるのか。
A4.後期高齢者は各個人が後期高齢者医療の被保険者となることから、健康保険被保険者証や国民健康保険被保険者証等は交付されず、新たに後期高齢者医療広域連合から交付される後期高齢者医療被保険者証のみを持参することになる。なお、従前の健康手帳は廃止される。
(平成20年4月1日において被保険者と見込まれる方については、原則、3月中に後期高齢者医療広域連合から被保険者証が交付される。)
Q5.75歳になった誕生月の誕生日前後で診療を受けた場合の請求はどのようになるのか。
A5.74歳以下の方が月の途中で保険者が変更になった場合と同じ取扱いである。すなわち、誕生日に従前の被保険者証から後期高齢者医療被保険者証に変わり、当該月の診療報酬明細書は75歳を迎える前の保険者に係る請求分と75歳を迎えた日以降の後期高齢者広域連合に係る請求分の2枚になる。
【70〜74歳に係る一部負担金増凍結】
Q6.70歳から74歳の患者について、高齢受給者証の変更はあるのか。
A6.様式に特に変更はないが、「一部負担金の割合」の欄は、「2割(ただし、平成21年3月31日までは1割)」(※)と記載されることとなる。
(※)なお、同欄の余白が足りないなどの事情により、「1割」と記載される場合や、有効期限が年度途中の場合には当該有効期限までと記載される場合がある。
Q7.70〜74歳に係る一部負担金増(1割負担から2割負担)が凍結される患者について、レセプトの記載方法はどのようになるのか。
A7.後日、記載要領等で示される。
【後発医薬品の使用促進】
《処方せん様式》
Q8.平成18年3月以前の処方せん様式(後発医薬品への変更可の署名欄のないもの)又は平成20年3月以前の処方せん様式(後発医薬品への変更可の署名欄があるもの)を使用することは可能か。
A8.できるだけ早期に新たな処方せん様式に切り替えていただきたいが、後発医薬品(ジェネリック医薬品)への変更が全て不可の場合の保険医署名欄を設けるなど、患者及び保険薬局の保険薬剤師に明確に新様式であることが分かるような形で取り繕った上で使用することは可能である。
なお、新たな処方せん様式においては、後発医薬品への変更が全て不可の場合のみに保険医が署名等を行うこととされたことから、平成18年3月以前の処方せん様式又は平成20年3月以前の処方せん様式をそのまま用いることは、患者及び保険薬局の保険薬剤師が混乱するおそれがあることから、必ず取り繕った上で使用していただきたい。
【点数項目】
《初・再診料》
A000初診料の注6及びA001再診料の注5の夜間・早朝等加算
Q9.夜間・早朝等加算は病院でも算定できるのか。
A9.診療所のみ算定でき、病院では算定できない。
Q10.夜間・早朝等加算を算定するに当たっては、届出が必要か。
A10.「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」別添7の様式1(参考資料P.973参照)による届出が必要である。
Q11.夜間・早朝等加算の対象となる時間帯はいつか。
A11.対象となる夜間・早朝等とは、午後6時(土曜日にあっては正午)から午前8時までの間(深夜(午後10時から午前6時までの間)及び休日を除く。)、休日又は深夜であって、当該保険医療機関が表示する診療時間内の時間である。
Q12.例えば、午後6時前に受付を済ませた患者を午後6時以降に診療した場合、夜間・早朝等加算は算定できるか。
A12.午後6時以降に受付を行った患者が対象となるものであり、夜間・早朝等加算は算定できない。したがって、受付の時間によって夜間・早朝等加算を算定する患者と算定しない患者が混在する可能性があることから、その旨診療所内の患者が分かりやすい場所に掲示されていることが望ましい。
Q13.例えば、午後8時までを診療時間とする保険医療機関において、患者が残っているため午後8時以降も継続して診療していた場合、表示する診療時間外である午後8時以降に受付を行った患者については、どのように算定するのか。
A13.診療応需の態勢を解いていない場合にあっては、夜間・早朝等加算を算定する。
Q14.夜間・早朝等加算は、1週当たりの表示診療時間の合計が30時間以上でなければ算定できないが、計画的に訪問診療を行っている時間は30時間に含まれないのか。
A14.一定の決まった日又は決まった時間に行われる訪問診療の時間については、その実施する時間を表示している場合に限り、30時間に含めて差し支えない。ただし、患者が来院したとしても、診療を受けることのできない時間(定期的に学校医、産業医の業務として保険医療機関を不在とする時間や、地域活動や地域行事に出席するとして保険医療機関を不在とする時間を含む。)は表示する診療時間に含まない。また、診療時間として表示している時間であっても、訪問診療に要する時間以外に、常態として当該保険医療機関に医師が不在となる場合は、表示する診療時間に含めない。
Q15.一時的な休診により、1週当たりの表示診療時間の合計が30時間未満となった場合には直ちに夜間・早朝等加算が算定できなくなるのか。
A15.社会通念上、妥当適切と思われる一時的な休診については、表示診療時間に診療する体制が確保されるものと見なす。ただし、定期的、継続的な休診時間は表示診療時間には含まれず、変更の届出を行う必要がある。
Q16.定期的に夜間・休日診療所等での診療に協力している場合でも、1週当たりの表示診療時間の合計が30時間以上の要件を満たなければならないのか。
A16.概ね月1回以上、当該診療所の保険医が、客観的に深夜における救急医療の確保のために診療を行っていると認められる次に掲げる保険医療機関に赴き夜間・休日の診療に協力している場合に限り、1週間当たりの表示診療時間の合計が27時間以上で差し支えない。また、当該診療所が次のイ及びウの保険医療機関である場合も同様に取り扱う。
ア 地域医療支援病院(医療法第4条第1項に規定する地域医療支援病院)
イ 救急病院等を定める省令(昭和39年厚生省令第8号)に基づき認定された救急病院又は救急診療所
ウ 「救急医療対策の整備事業について(昭和52年医発第692号)」に規定された保険医療機関又は地方自治体等の実施する救急医療対策事業の一環として位置づけられている保険医療機関
A001再診料の注6外来管理加算
Q17.今回、100cm2未満の第1度熱傷の熱傷処置、100cm2未満の皮膚科軟膏処置、洗眼、点眼、点耳、簡単な耳垢栓除去、鼻洗浄、狭い範囲の湿布処置は基本診療料に含まれるものとされ、別途処置料を算定することができなくなったことに伴い、これらの処置を行った場合でも、要件を満たせば外来管理加算を算定できることになったものと考えてよいか。
A17.外来管理加算を算定するための要件をみたしているものについては算定できる。なお、医師が直接これらの処置を行った時間又は説明を行った時間については、外来管理加算を算定する際の、「直接診察を行っている」時間として見なすことができる。さらに、これらの結果を踏まえて病状や療養上の注意について、懇切丁寧に指導説明する必要がある。
Q18.外来管理加算は、患者を5分以上診察しなければ算定できなくなったのか。
A18.外来管理加算は、医師が実際に概ね5分を超えて直接診察を行っている場合に算定できる。なお、診察を行っている時間とは、患者が診察室に入室した時点を診察開始時間、退室した時点を診察終了時間とし、その間一貫して医師が患者に対して問診、身体診察、療養上の指導を行っている場合の時間に限る。
Q19.外来管理加算の算定に当たっては、診療録に時間要件に該当する旨の記載が必要であるが、具体的にはどのように記載すればよいのか。
A19.以下の例が考えられる。
記載例)時間OK、時間要件OK、5分以上、おおむね5分
Q20.区分番号「B000」特定疾患療養管理料は、診療に基づき計画的な診療計画を立てている場合であって、必要やむを得ない場合に、看護に当たっている家族等を通して療養上の管理を行った時においても算定できるが、家族等に対する療養上の指導の時間が概ね5分を超えた場合、外来管理加算は算定できるか。
A20.外来管理加算は、医師が実際に概ね5分を超えて患者に対し直接診察を行っている場合に算定できるものであり、家族等に対する療養上の指導の場合は算定できない。
《医学管理等》
B016 後期高齢者診療料
Q21.後期高齢者診療料の算定に当たっては、施設基準に係る届出が必要とされるが、当該届出を行っていない保険医療機関においては、75歳以上の患者について従来どおり出来高で算定できるのか。
A21.後期高齢者診療料の届出はあくまでも保険医療機関の手挙げ方式であり、届出を行っていない保険医療機関においては、従来どおり、出来高で算定できる。
Q22.後期高齢者診療料の施設基準に係る届出を行った保険医療機関においては、全ての75歳以上の患者について、必ず後期高齢者診療料を算定しなければならないのか。
A22.後期高齢者診療料は、患者に対して診療計画書により丁寧に説明を行い、患者の同意を得て、必要な指導を行った場合に算定するものであり、同一保険医療機関において、後期高齢者診療料を算定する患者と算定しない患者が混在することはあり得るものである。
Q23.後期高齢者診療料は在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院でなければ算定できないのか。
A23.後期高齢者診療料は、施設基準を届け出た診療所又は当該病院を中心とした半径4km以内に診療所が存在しない病院において算定できるものであり、在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院である必要はない。
Q24.後期高齢者診療料を算定している患者について、再診料及び外来管理加算を算定することはできるのか。
A24.医学管理等、検査、画像診断及び処置の費用(一部を除く)は後期高齢者診療料に含まれるが、それ以外のものについては別途算定できる。したがって、再診料及び要件を満たせば外来管理加算も算定できる。
Q25.後期高齢者診療料の算定に当たっては、施設基準に係る届出が必要とされるが、当該届出を行っていない保険医療機関においては、75歳以上の患者について生活習慣病管理料を算定することはできるのか。
A25.従来どおり算定できない。
Q26.後期高齢者診療料を算定している患者が急性増悪し、当該急性増悪に対する診療が当該月の1回目の診療だった場合、当該月を出来高算定とすることは可能か。
A26.可能。ただし診療報酬明細書に理由等記載のこと。