このページはグランビア通信に書かれた
スペインよもやま話を集めています。

  --♪--♪--♪ スペインよもやま話 bP6 ♪--♪--♪--  

                  -- オムレツの話 Trtilla  --

 洋の東西をとわず卵料理はその国の国民食となっていることが多い。
 かつて「巨人・大鵬・卵焼き」という言葉がありました。知ってる方はそろ
 そろ熟年の域に入りかけてるかと思われます。(僕もその一人ですが。)
 卵焼きは確かに日本人の好物の一つでしょうが、これは日本だけの現象
 ではありません。なんとそれ以上に卵焼をたくさん食べる国がありました。
 それが、スペインです。

 スペインの”卵焼き”はTrtilla(トルティーヤ)といって、丸くて厚みがあり
 ジャガイモが入ってる固焼きの卵焼きです。タルトケーキのような形を
 しています。当店では開店当初よりメニューにあり人気のアイテムでした。
 が、しかし、スペインで食べるオムレツと自分が作るオムレツとは何かが
 違う!そういう念を抱きながら何度かスペインを訪れていました。

 4年位前の事ですが、グラナダの街で同じバルに2日続けて行ったら、
 バルの主人とすっかり友達になってしまいました。そこでオムレツの
 話をしたところ、「家のカミさんは、ガリシア料理の名コックだ!
 明日の朝8時ごろ、作りを教えるから来い!」ということに…。
 
 翌朝少し二日酔いの状態で行ったら快く迎えてくれ、早速厨房の
 中へ行くと、名コックのカミさんが待っていました。そして、ひとつひとつ
 丁寧に説明しながら教えてくれました。

 その行程のなかで、一つだけ自分のやり方と違う点がありました。
 ”一見は百聞にしかず”まさに”目からうろこ”!それは低温の油で
 生のジャガイモを煮るように揚げる!たったこの作業が味の違い
 だったのです。何年考えてもわからなかった事が解決し、現在の
 オムレツはスペインで食べるそれと同じ味になっています。

 ちなみにスペインではオムレツを作れない女性は嫁にいけないとまで
 言われています。日本でもそれと似た言われ方がありますね。「味噌
 汁を作れない女は……。」最近はそんなことは問題にされなくなりまし
 たね、ちょっと寂しい気もします。
 では、また。 Adios! amigos amigas.




このオバサンがガリシア出身の名コック です

 
  --♪--♪--♪ スペインよもやま話 bP7 ♪--♪--♪-- 

          -- 闘牛 Corrida de  Toros --

 今回の話題は”闘牛”です。スペインと聞けば誰でも連想するのは
 フラメンコと闘牛と…。世界広しといえどもこれだけユニークなスポーツ
 いやショーはないかもしれません。

 テレビなど見る場面は決まって闘牛士(マタド−ル)が赤いマント
 で牡牛(トロ)をさばいている所で、とてもかっこいい場面ばかり。
 ですが、あの場面には前後があって、それはけっこう闘牛を観る上
 で重要な部分だったりするのです。

 闘牛は4月〜9月までの間で、闘牛場のあるそれぞれの地方で
 何も行事のない日曜日に開催されます。月に2−3回位のようです。
 料金は2000ペセタ〜5000ペセタ(1400円〜3500円)です。

 夕方5時ごろから闘牛ははじまり、夜の10時ごろまで続き、その間
 7頭の牡牛が闘牛士と戦います。1頭の闘牛は大体20分ぐらいで
 終わり、それをくりかえす訳です。

 闘牛は6場面で構成され次のようになります。場面の変わり目には
 すべて決まっているファンファーレと曲があります。
 
 @ 牡牛登場。700Kg以上もあるとびっきり気性の荒い牛が皆の
   拍手を呼びます。
 A 闘牛士(マタドール)登場。スパンコールが散りばめられたド派手
   な衣裳とマントをもって登場しますが、この時、牡牛が猛突進して
   きたりするので、マタドールは意外にも逃げたりします。牛がどの位
   どう猛なのか見ている訳です。
 
 B ピカドール登場。馬に防護服を着せ、長い槍をもって馬上から
   牡牛の首の付け根を突く係です。牛の首をさげさせないと危険
   だからです。同時に闘争心をあおる訳です。 
 C 飾り槍を突き刺す。若い闘牛士たちが2本ずつ3回突き刺します。

 D マタドール再登場。この場面がテレビなどで紹介される部分です。
   華麗なマント裁きが売り物で、最後のフィナーレはマタドールの剣の
   一突き、3秒ほどで牛が倒れます。うまい闘牛士ほどこの瞬間を
   劇的に演じます。(命がけの演技だと私は思いました。)
   ここで一突きで仕留められない闘牛士には、ブーイングや野次
   が飛び交い座布団が宙を舞います。ちょうど日本の相撲で
   座布団がまう感じと似ています。座布団は入場する時に100
   ペセタ(65円)で借ります。
 
 Eフィナーレ。うまく劇的な盛り上がりを見せてくれた闘牛士には
  その牡牛の両耳を切り落とし、与えられます。それを高々と観客
  に見せると、怒涛のような拍手と指笛。牛は2頭の馬に引かれて
  闘牛場を後にします。

 後には、牛から出た膨大な血だけが残ります。あの広い闘牛場で
 生臭い血の匂いを感じたのは私だけではないはずですが。農耕民族
 の我々には理解出来ない部分もあるのかもしれません。
                        ……セビリアの闘牛場にて。

 今回は少し生臭い話になってしまいました。
 皆さんからの質問やリクエストを募集します。知ってる範囲内で
 お話したいと思います。  それでは Adios!amigos amigas.
 


Dの場面です


--♪--♪--♪ スペインよもやま話 bP8 ♪--♪--♪-- 

      -- スペインローカル列車の旅 B --

 ”旅の恥はかき捨て”的な、ちょっとかっこわるい経験、皆さんも一度や
 二度はあるのではないでしょうか?

 バレンシアからマラガまでの夜行寝台列車での事です。夜9時発
 翌朝7時マラガ着の2等寝台列車は4750ペセタ(約3300円)で
 1部屋6人3段ベットでした。車内では小学生の修学旅行の一団と
 一緒になり、蜂の巣をつついたような状態でした。先生が大きな声
 で対応している様子はどこの国も同じだなと思いました。

 列車が出発すると子供達の声は落ち着き、静けさを取り戻した
 車内はガタンゴトンの規則的な音だけが響き、夜行列車特有の
 雰囲気(その昔、故郷能代から大学行く為に乗った津軽二号…
 これを解る人はそろそろ熟年です。)が漂っていました。暗くなった
 外の景色を見ながら1時間ほどして、靴を脱ぎベットに入りました。

 向かいのベットはでかい図体のドイツ人風の旅行者。上の段はどこ
 の出身かよくわからない黒人と、全く多国籍の一部屋でした。僕以外
 は皆すでに寝入っていて、疲れていた僕もまもなく深い眠りに
 入りました。

 洋服を着たまま寝ているので、夜中に寝苦しくて目がさめてしまい
 トイレに行こうとベットから出たら、床の上には、あれ〜俺の靴しか
 ないぞ…変だな?みんなの靴はどうしたんだろう…と向いのドイツ人
 の足元を見たらなんとしっかり履いたまま寝てるではないか!上の
 黒人もやっぱり履いたまま、結局自分だけが靴を脱いで寝てたわけです。

 自分だけ靴を脱いでたことがなんだか恥ずかしくなり、とりあえず
 トイレへ行き、何くわぬ顔で戻って来たら、全員グッスリ寝ていて
 気が付かなかった様子でした。今度はベットに靴を履いたまま戻り
 いろいろ考えてみました。もしかして寝てる間に靴が盗まれないように
 するための習慣かもしれない、そんな結論に達し、誰も起きていな
 かった事にやや安心して(?)また寝たというわけです。

 皆さん外国で2等寝台に乗る時は靴を履いたまま寝ましょう!?
 ではまた Adios!amigos amigas.



マラガの駅
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