初心者の人へ 初心者の人へ参考になりそうなことを載せてみます。

 


1英語の何が難しいか


「日本人は英語が不得意」と言われています。

本当にそうでしょうか。

確かに中学校、高校の6年間、人によっては大学でも英語を学んでいますが、挨拶もできないとよく言われます。

しかし、アメリカ人でフランスを学んでもほとんどフランス語が話せない人は少なくないようです。フランス語と英語は日本語と英語よりは似ていると思うのですが。

また、日本に長くいてもさっぱり日本語がうまくならない外国人もいます。一方、外国で英語がぺらぺらになった日本人もいますから、「国籍」や「民族」は関係ないような気がします。

小学校時に外国で暮らせばその国の言葉を普通に話せるようになるが、それ以降だとネイティブのようにはなれない、という話もあり、そうなのかも知れませんが、大人になって英語を話せるようになった人はたくさんいます。

シンガポールや香港、今では韓国や中国でも、英語を小さいころから学ばせ成果をおさめているようです。

大人になると、記憶力は若いころよりなくなり、単語や文のルールを記憶できなかったり、英会話学校に通ったり、ラジオやテレビの英語講座をはじめても、成長が実感できずやめてしまう人も多いのではないでしょうか。

英語は、外国語であり、外国語はテキストの歌い文句のように数週間で覚えることは不可能です。

戦略を立ててやらないと、ほとんどの人は途中で投げ出してしまうでしょう。

英語の一番難しいところは「学習を続ける」ということです。特に、日本語が話せれば生活にはなんら困らず、英語話せることが高額所得に直接結びつかない日本では、特に難しいと思います。

2英語の続け方

直接英語を使う仕事ではなく、将来英語を使って生活をしていこうという人以外が英語を学ぶには工夫が必要です。

まず、英語を楽しく学べる必要があります。

それには、「最初から完璧な英語を話そうとしない」ことです。「正しく」は日本人の特性かもしれませんが、言葉を覚える上では障害になります。「言葉は話したほうが覚える」という特性があるようです。一方、正しく話そうとすると、リラックスできず、言葉が出にくくなってしまいます。

「簡単な言葉を使って表現できるようになる」ことが英語の成長の第一歩になると思います。

自分の言いたいことを伝えるのが「言葉」です。「いいたいこと」を言葉にできたとき、会話をした実感から、あとは続いていくと思います。

「簡単な言葉を使って自分の言いたいことが言えるようになる」その方法をまず知ることが大切です。

3何からやるのがいいか

ちまたに英語の本がたくさんあります。

レベルの高いものはおすすめできません。

また、日本語の解説ばかり多いのもあまり良くないと思います。

英語では発音が非常に重要になります。完全でなくても一定以上の発音のしかたを覚えないと相手に通じません。

英語の文の組み立て方に慣れなければなりません。日本語が「てにをは」で単語をつないで意味を伝えていくのに対し、英語は語順が重要になります。覚え方は別にしても、語順を5通り使えるようにならなければなりません(5文型と言われる)。

単語をどうやって覚えるかも大事です。特に動詞です。基本的な動詞を現在形と過去形とで使えるようになる必要があります。

覚え方としては、自動車教習所のような覚え方がいいと思います。自動車教習所では、自動車の構造や交通法規を教程で実際の運転を実地訓練で学びます。いいところは、基礎力を付けて仮免を取り、それに合格してから路上に出ることです。

英語の世界では、基礎力なしで、ブロークンで英語を話してしまうため、話せない自分に自己嫌悪に陥ってしまいます。

英語の自動車教習所のようなところは、ないので、自分でプログラムを組まなければなりません。

発音を覚える、英語の組み立て方を覚える、単語の正しい使い方を覚える、これらを、基本的なものから枝葉的なものに広げていくことがポイントとなります。かつ、飽きないで続けられる方法で。

4発音について

自動車教習所のような英会話学校がない現在の日本の状況では、個別に自分で工夫してやっていくしかありません。

発音のしかたについては、「発音のしかたを覚える」のが最初です。

発音のしかたは、現在は「フォニックス」という方法が浸透してきているようで、昔と違って覚えやすくなってきているのではないでしょうか。

フォニックスというのは、アルファベット(abcdefghijklmnopqrstuvwxyz)は、一つ一つ発音が決まっており、英語は文字を発音する「表音文字」で、make(メイク)はm(ム)+a(エイ)+k(ク)+e(発音しない)の音素で成り立っており、それぞれmとaとkの発音を練習するというものです。

ホームページでも音声と口の図月のものがありますので探してみてください。

この方法のいいところは、到達点が意識できるところです。aからzまでのアルファベットの発音の仕方とchやthなどの発音の仕方さえ覚えればいいのですから。

英語の教材を買うときは、できる限りCD付きのものにしたほうがいいと思います。英語の音声に触れる機会は1回でも2回でも多いほうが英語に慣れます。

英語の発音の仕方を知ることは、英語を聞く上でも有利になります(「話せない英語は聞けない」と言う人もいます)。

5文の組み立て方について

文の組み立て方は、一般に「文法」といいますが、「文法」はやり方を間違うと迷路に入ってしまう気がします。

そこで、とりあえず、文法は、インターネットや市販のテキストで中学生用の基本的なものを探して、一通りは読むことをお勧めします。

そこには、肯定文や否定文、疑問文の作り方、基本的な名詞、動詞、形容詞、副詞、前置詞の使い方、can、shouldなどの助動詞の使い方、theの使い方、などや、5つの文型が出てきます。

「文法と聞いただけで鳥肌が立つ」と言って、この部分を省くと、幹の無い木のようになり、結局後で苦労しますので、骨格の部分のルールを学ぶことは必要です。ただし、枝葉の部分にまで入ると、よくわからなかったり、間違った説明が多くなってきますので注意が必要です。

ポイントは、「基本的な部分については、一通り本などを使っておさらいする」ということです。

6文に慣れる

その後に、「英文に慣れる」必要があります。

日本人が英語を使えない最大の理由は「文に慣れていないから」です。

文に慣れるとは、その言い方を何回も聞いたり使ってみたりしながら頭に沁みこませるということです。

日本語で「イエス」と言うときは、「イエス」は「イエス」であり、それを「はい」に訳す必要はありません。

文に慣れるとは、「訳さなくてもわかる」という段階と言っていいと思います。

いちいち訳していると疲れていやになってしまいます。

ただし、最初から「訳なし」で覚えていくことは難しいので、最初は「訳」も「補助輪」として使います。

文に慣れるには、「発音を確認できるCD付きのもの」「文法内容が複雑でない中学3年生まで程度のもの」「訳や単語の説明などがついていて内容を確認できるもの」を複数準備して、聞いたり、読んだり、そこで使われている言い方をまねて文章を作ってみたりします。

教材としては、教科書の読み物を集めて構成した「英会話・ぜったい・音読」シリーズがお勧めです。それ以外でも、上記の3つが満たされているもので、文が読んでおもしろいものならいいと思います。

7英語学習が続かない訳

多くの人が英語学習を途中でやめてしまうのは、「成長を実感できる前に飽きてやめてしまう」からです。

どんどん上達しているのにやめてしまう人はいないでしょう。

多くの場合、どうしたら英語ができるようになるか分からず、英会話学校に通ったり、身近な英語教材やラジオ、テレビで学習を始めても、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月・・・と続けていっても、ほとんど話せないことや映画を見てもほとんど分からないことに変わりはなく、しだいに遠のいてしまうのが実情ではないでしょうか。英会話学校で、結局自己紹介しかいつまでたってもできないなどといったことも起こります。

ここでは、「文の組み立て方がわからない」「どの単語をつかっていいかわからない」ことから脱していません。

文の組み立て方が分かるようになるまで、何度も何度も前章の教材で聞いたり、読んだりする必要があります。その中で、be動詞の使い方や基本的な動詞の使い方、疑問文の作り方、質問への答え方、などが分かってきます。

疑問文の作り方は特に重要です。なぜなら、会話は多くの場合「情報の交換」であり、相手から情報を得るには、相手に質問しなければならないからです。

質問の仕方は、できれば「質問用ノート」などを作って、質問の文をそれに書き込んでいったりするといいと思います。暇なときに、そのノートをランダムに開いてそこに書かれている質問に空で答えてみる、というのはとてもいい訓練になります。

英語の習得には「訓練」が必要です。自転車と同じで練習なしにうまくなることはありません。

練習として効果的なものの一つに「文を暗記してしまう」というのがあります。「年を取って、暗記なんてとてもとても・・・」と思い方は多いと思いますが、「構えなければ」一定の暗記はそれほど苦痛なことではありません。

例えば、Good afternoon, everyone. という英文を暗記できないという人はいないでしょう。こういう短い文章でいいので、無理をせず少しずつ暗記していきます。声を出して読んだら、次に空で声を出さずに話し、次に声を出して空で言う、などを繰り返すといいと思います。

たまに長い文に挑戦してみるのもお勧めです。

文の暗記は「集中力を生む」「英語に慣れる」「その文を会話で使える」という1石3鳥の効果があると思います。我々のように年を取ってくると認知症の防止にもなるという副産物もありそうです。

こうやって「習慣」を作ることも「続ける工夫」です。

他に、教材を複数用意することが大事です。人間は飽きやすい動物です。6で述べた3要素があれば、どんなものでもいいと思います。ジャパン・タイムス社からは、初級者用の読み物が各種出ています。ただし、一回読んだり聞いたりして終わりにするのではなく、近くに置いておいて「たまに開いて声を出して読んでみる」「たまに集中してCDを聞いてみる」ことが大事です。「一つの教材をいくら時間が相手もいいから複数回使用する」のがお勧めです。

それは、自分の成長をチェックすることにもなります。

最初は「借り物でしかなかった英文」がしだいに「しっくり来て訳さなくても理解できている自分」を確認できれば、これまた、英語を続ける原動力となります。

8声を出すことの難しさ

英語を学ぶ上で効果的だと思われるのは声を出すことですが、声を出すのは実は非常におっくうです。

なぜなら、英語の発音は、口の筋肉をかなり使う必要があり、あまり口の筋肉を使わないですむ日本語を話す我々にとって「つらい」からです。

ただし、ジョギングが慣れてくると楽しくなるのと同じで、発音も慣れてくると「口のスポーツ」のようで、英語特有の抑揚のある言い方は快感になります。ようは、その快感にたどりつくまでが問題です。

工夫の一つとしては、「感動的なスピーチ」「楽しいもの」などを探して「自分もこのように話してみたい」と思うことです。「落語」などもいいと思いますし、NHKで出版のWhat's new?シリーズから、好きないくつかを選んで、感じを込めて練習するのもいいと思います。

9生活に取り込む

普通のことをしていたのでは、日本では、途中で投げ出してしまう確率の方が高いと思います。

仕掛けを作る必要があります。

「どうやったら英語に触れる機会を多くできるか」工夫する必要があります。特に細かい時間を時間をどう使うかがポイントになります。

そのためには、教材をいろいろなところにおいておく必要があります。

・トイレには、短いフレーズ集を置いて、1回使用ごとに1文暗記する。
・散歩やジョギングときはipodなどに録音した英文を聞く。
・電子辞書などを持ち歩いて、電車などで例文を聞いたり(学習用の音声の入っているものがあります)、単語を覚えたりする。
・テレビのコマーシャルの時間に傍らに置いてある英文の本の続きを読んでみる。
・質問文のリストを持ち歩き、スペアタイムに取り出して、英文で答えてみる。

それから、難しいものは教材として合わないと書きましたが、たまには生の日常に話される英語に触れてみましょう(BGMのように浴びるのが効果的という人もいます)。例⇒VOAのページ
その場合は、集中して聞くようにし、同じものを2回聞くようにしましょう。1回目と2回目では理解力が全く違いことに気づくはずです。このことは、人間の特性を表していると思われ、学習法に一つの方向性を表しているような気がします。

10単語について

単語の習得は、頭の痛い問題です。

日常英会話に使われる単語は1,000程度しかないと言われています。

その意味では、「よく使われる単語をちゃんと使えるようにする」のが先決です。とはいっても、よく使われる単語と言っても使われ方は一筋縄ではいきません。かえってそっちの方が難しかったりします。

単語を専門に扱ったテキストもありますが、買ってもなかなか続かないものです。

よく使われる単語とよく使われる使われ方は、結構限られています。

出てくるたびにつぶしていくのが、結局は近道なのではないでしょうか。それらは多分5,000程度だと思われますが、最初から諦めないことです。

よく使われる単語の中には、日本語の中に登場しているものもかなり多くあります。インタビュー、コンセンサス、データ、フィーリング、数限りなくありますので有利です。

「単語は文の中で覚える」必要があります。そうでないと結局使えません。

電子辞書で「英英辞典」を使ってみるのはお勧めです。2人以上がいるときは、交互に「簡単な言葉を引いてその英文を読み相手が答える」というのは、読む練習にもなりますし、聞く練習にもなり、「言葉の説明の仕方」を知ることにもなり、1石3鳥です。例えば「the planet that we live on」(我々が住んでいる星)は「earth」となります。いちいち打ち込まなくても「ジャンプ」という機能を使って、説明文の中にある単語を次から次へと英英辞書で見ていくことも可能です。

普通の日本人成人は数万語の日本語を覚えているとのことで、外国語についても同じようなものだと思いますから、「単語を知らないことを苦にしない」ことは重要な資質です。英語は国際語ですので、英語を母国語としな者同士が英語を使って意思疎通をする機会は多くなっています。そういう意味では、「基本的な語彙」と「基本的な文の組み立て」を使って会話することが、お互い意思疎通をしやすいことになります。

11分かりにくくて重要なこと

よく使われるものに、どうもよく使い方がわからないものにbe going to、will、would、could、can、the、as、ofなどがあります。これらについては、こちらのホームページも活用してみてください。⇒英語の学び方を考えてみる

いずれ、よく使われる表現のしかた、単語の並べ方、よく使われる単語などは、限られています。それを習得するには、訓練が必要です。あるデータによると外国語を一定程度使えるように習得するには「正しい方法で1千時間」必要とのことです。

これを多いと感じるか少ないと感じるかは別として、やってみるとわかりますが、「ちゃんとした1時間を英語学習に充てる」ことは非常に大変です。毎日となると5分でも大変なものです。また、「正しい方法」は残念ながら日本ではその方法で学習を行う環境にありません。そのため「細切れの時間を使ったり」「テキストを選択したり」しながら「自分で工夫していく必要があります」

日本において英語を獲得できる人は「やりかたを獲得できた人」ということになります。

12英会話クラスについて

英会話クラスは、外国人の講師の生の英語が聞け、生の会話ができる日本人にとって少ない機会であり、他の生徒と一緒に(一人だとくじけそうになる)モチベーションを保つことができる、というメリットがあります。

クラスを最大限生かすよう次のことに心がけてはいかがでしょうか。

・日々疑問に思っていることを書き留めておき、(できれば事前に渡しておき)クラスの中やクラス終了後に説明してもらう(何が分からないかを講師に知ってもらうことは非常に重要です)。
・発音のしかたについて講師に聞く(発音が悪くても、講師はだんだん慣れてきますので、生徒の方から聞くことは有効です)
・講師や生徒が話した内容で聞き取れなかったことで、重要と思われる言い方を黒板に書いてもらう(他の生徒に取っても有効です)
・重要そうだが知らない単語に出会ったとき、その使い方を黒板に書いてもらう。

13最後に

サッカーの岡田監督が試合の心構えとして「心は熱く、頭は冷静に」というようなことを言ったように思いますが、英語習得の心構えとしては、「間違いを気にせず、間違いを減らしていく」ということになると思います。

日本人の英語が挨拶もできないのは当然です。挨拶を英語でしないからです。

外国人旅行者は増えており、外国人英語講師と話すチャンスも増えており、外国旅行に行く機会も増えていると思います。言葉はコミニケーションのツールであり、使わないで習得するのは困難です。「うまくなったら話そう」と思っても「話さないとうまくならない」のです。日本人はシャイだと思い込んでいる面がありますが、外国にもシャイな人はたくさんいます。

英語を母国語とする国の人以外は全て学習者です。その中でうまくなっている人たちは、まちがいの道を通って、少しずつ正しい英語になっています。

日本語にない「複数形」や「三単元」、theやaの間違いに気を取られて、話ができないのでは元も子もありません。てにをはを間違っている外国人をとがめる人はいないでしょう。

一方、ずっと間違い続けるのも考え物です。

せっかく学習するのですから、「何が正しいか」を追求していきたいものです。何が正しいかを正確に知っていけば、おのずと正しい英語を話す方向に向かって行きます。

問題なのは、日本では「someは肯定文で、anyは疑問文や否定文で使う」といった間違った解説がたくさんあります。「willは単純未来、be going toは近接未来」などという意味不明の解説も多く存在します。

英語のことわざに「時計が2つあると時間がわからなくなる」というものがありますが、日本の英語教育ではこのような「混乱」が多く見られる気がします。

ですが、「何が正しいか」を追求することは重要です。適当に付けられているようにみえる前置詞にも全て理由があるのです。

「ハートで感じる英文法」シリーズなど、正しい英語の仕組みが身につく本やテレビ番組も続々登場してきているようですので、「アンテナを高くしておくこと」も英語学習には重要です。