不当要求対応10則

1.相手を確認する

相手を確認する 相手が暴力団らしいというだけで気が動転し、どこの誰だか確認せずに応対するケースがあります。これでは、暴力団員に対する応対方法としては失格です。初対面の段階で、「上司に報告する必要がありますから。」などと告げて名刺をもらうなど、相手の住所、氏名(なるべくフルネームで)、所属団体名、電話番号を確認するべきです。

もし相手が確認のための問いに答えない場合には、「名前も言えない方は、お引き取りください。」と、キッパリ面談を断るべきです。

相手が数名いる場合には、全員について確認できれば、それに越したことはありません。すべてについて確認できない場合には、中心人物に絞って確認すればよいでしょう。

人相、服装、特徴等を確認して、メモに残しておくことも大切です。

2.用件を確認する

用件を確認する用件がわからなければ応対の仕様がないのですから、言い掛かりや、はっきりとした用件のない場合には、明確に引き取り方を要求することが大切です。

暴力団員は、恐喝等の罪に問われることを恐れて「誠意を見せろ」、「顔がたつだけのことはしてもらう。」等と言って、要求内容を明示しないことが多いのですが、これを「どうせ金が目的だろう。」などと勝手に判断して、こちらから金銭の解決を投げかけるのは絶対に禁物です。
このような場合には、「それはどういう意味なのですか。」などと聞き返して、相手の内容と根拠を自身の口から明確に引き出すことが大切です。

3.複数で対応する

複数で対応する暴力団は、その異様な暴力的雰囲気で、担当者を威圧しながら不当な要求を迫るのです。たった一人で、多数の暴力団に囲まれていては、どんな気力のある担当者でも、彼らに屈してしまうでしょう。
暴力団と対応するときは必ず複数で、相手の暴力団員より多い人員で対応してください。

暴力団員があまり多く来たときには、「代表者の方とお話しします。」と申し入れて人数をしぼってください。

4.対応の経過を記録する

対応の経過を記録する電話や面談による応対内容は、犯罪検挙、行政処分、民事訴訟法等に不可欠ですので、確実にメモ、録音し、記録化しておくことが必要です。
この場合、事前に録音する旨を告げて、公然と録音等をすることが、相手をけん制する上でも効果的です。

たとえ相手が拒否しても、「内容を上司に正しく報告する必要があります。」などと告げて録音等を励行してください。

状況によって公然と行うことが出来ないときは、秘匿録音でも証拠価値はありますので、できるだけ録音をしておきましょう。

5.一次的にトップには対応させない

一次的にトップには対応させない暴力団は「責任者を出せ」、「お前では話がわからん。上司(決裁権者)に会わせろ」等と言ってきますが、いきなり決定権を持つ者が応対すると即答を迫られます。
したがって、応対者が「わたしが担当ですので、お話を承ります。」等と告げて、トップには決して会わせないことが重要です。

6.暴力団事務所には赴かない

暴力団事務所には赴かない暴力団に呼び出されて、組事務所に出向くことは最も危険な行為です。恐怖心から、とんでもないことを約束させられることになります。
もし呼び出されても、「当局からお断りをするように指導を受けています。」などと言って、絶対に呼び出しに応じてはいけません。

どうしても外でなければいけない時には、人目が多く、管理者がはっきりしている、ホテルのロビーや喫茶店などにしましょう。

7.理由なき念書は作成せず、署名押印しない

理由なき念書は作成せず、署名押印しない暴力団は「一筆書けば許してやる。」等と詫状や念書等を書かせたがります。しかし、これに応じますと、後日、「お前のところも、非を認めて詫状を書いているのだろう。」などと、その書類を盾に金品の要求をしてきます。

暴力団員は、「ここに来たことを、組の上の者に報告するので、お前の名刺の裏に判を押せ。」などともちかけ、後で要求を認めたと主張したり、悪用したりします。

暴力団等が、社会運動に名を借りて署名を集めることがあります。これに署名をすると、これを持って支所や関連企業などを訪問するなどして、賛助金集めの道具に使われかねません。
したがって、理由なき書類を作成したり、安易に名刺に署名、押印したり、暴力団員が持ってきた書類に署名押印するなどの行為は、絶対に禁物です。

8.解決を急がない

解決を急がない組織的な対応を図るためには、最初の応対での即答を避け、組織としての方針を検討した上で、改めて対応することが大切です。

暴力団は、方針の固まらない間が勝負の分かれ目と考えて、執拗にその場で解凍を求めてきます。
そのような場合には、「責任ある回答をするには、上司の決裁がいる。」などと告げて、相手のペースに乗ってはいけません。

9.短時間で打ち切る

短時間で打ち切る応対時間が長くなると、暴力団の恐怖から逃れたい一心で、無意識に妥協する方向に気持ちが動くようになりますので、応対の時間は可能な限り短くします。例えば、「何時には○○がありますから、何時までならお話を伺います。」などと告げて、応対の時間を明確に区切ることが望ましいでしょう。

必要以上に長くなった場合には、応対を打ち切る必要があります。「これ以上お話ししても、当方の考えは変わりませんので、お引き取りください。」等と、明確な意思表示により、引き取ってもらいたい旨を告げます。

居座るようであれば、さらに2度、3度と告げ、それでも退去しない場合には、「警察に連絡します。」と告げます。

それでもなお居座り続けるようであれば、すぐに110番してください。

10.機を失せず早めの相談

機を失せず早めの相談「なるべく表沙汰にしたくない」、「何とか音便に済ませたい」という事なかれ主義に立った考え方が被害を拡大します。
暴力団に関しては、どんな些細なことでも警察や暴追県民会議に早期に相談し、緊密な連携をとって対応することが大切です。

暴力団員は、不当要求に対際し、「懲役なんか怖くない」、「警察なんか怖くない」という言い方をしますが、これは懲役や警察への通報を恐れるあまりの言葉なのです。つまり、暴力団員が一番恐れるのは、警察の取り締りなのです。